フードテックの事例

FOODTECH CASE STUDY

日本古来の豆腐加工技術をフードテックに 新素材「ソイルプロ」

東京都千代田区麹町四丁目8番地

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日本古来の豆腐加工技術をフードテックに 新素材「ソイルプロ」

ニップンが開発した「ソイルプロ」は、植物たんぱく素材の枠を広げる汎用性の高い素材です。
原材料に豆腐を使用し、ニップンが開発した特許出願中のオリジナル製法で製造することで、これまでの植物たんぱく素材では表現できない弾力的な食感とクセのない風味を実現しました。

豆腐は大豆を水で浸漬し、豆乳の状態で良質な大豆たんぱくを抽出し凝固剤で固めることで製造しています。食感は滑らかで心地の良い大豆の香りがあり、日本では古来より親しまれている食品です。

その食感と風味を活かして、開発した独自技術を使うことで新しい素材を開発しました。

ソイルプロは、豆腐を絞めて各資材を組み合わせ、独自の加熱方法で固めることで、強固かつ弾力的なたんぱく構造を作り出してしています。内層は密で経時変化などに強い物性ですが、中に緻密な気泡を取り込んでいることで、硬いだけでなく弾力に富んだ食感になります。同じく植物たんぱく素材として評価の高い粒状大豆蛋白は、組織化した構造がみられ繊維的な特徴が見られます(※電子顕微鏡写真参照)。弾力的なソイルプロ、繊維感を出す粒状大豆蛋白といった、面白い住み分けができると期待しています。

風味の良い豆腐を使い、大豆臭を抑える加工法を開発できたことで、味や風味にもクセがありません。独特の大豆臭が感じられる植物たんぱく素材では表現が難しかった、出汁を効かせた和風の味付けや、ドレッシングをかけた たんぱくサラダのような使用方法にも適しています。

栄養面では、豚肉比較でたんぱくの量は多く、脂質は1/2以下で低脂質・高たんぱくな素材です。大豆たんぱく由来なのでアミノ酸スコアは100となっており、美味しいだけでなくたんぱく補給を目的とした使用にも耐えうる設計としています。
植物性100%なのでコレステロールはゼロ、大豆イソフラボン、食物繊維も含まれており、肉比較でミネラル分も豊富です。美味しさと健康要素を兼ね備えた素材で、最終製品で薄い味付けでも美味しく食べられるため、減塩効果なども期待できると考えています。

従来品と差別化された品質は、特にプラントベースフードの商品展開を検討しているメーカー様や外食様から高く評価をいただいています。一番の評価ポイントは特有の大豆臭がまったくない点で、これまでの植物たんぱく素材にはない使い方(パックご飯の具材、パンの練り込み)などの採用も得られています。
その高い技術力と新規性が評価され、日本食糧新聞社の第34回 新技術・食品開発賞を受賞することができました。セミナーや展示会でも講演を行い、ニップンの取り組みについて多くのユーザーから反響をいただいています。

将来的に懸念されているプロテインクライシスへの備え、フードロスの削減、持続可能な生活の実現のため、ニップンはソイルプロを含めた「プラントベースシリーズ」の展開を進めていきます。多角的総合食品メーカーとして、環境にやさしい持続可能な食生活であるプラントベースフードの市場に積極的な商品展開をしてまいります。

株式会社ニップン

株式会社ニップンは、1896年 日本で初めて機械式製粉機を導入し、当時の最先端を走る製粉メーカーとしてスタートしました。以来、製粉事業を基盤とした事業展開を進め、幅広い商品を取り扱う総合食品メーカーへと変革してきました。 2003年には味付け油揚げメーカーのオーケー食品工業株式会社がグループに入り、大豆加工食品の分野にも進出。ニップンが開発した新素材「ソイルプロ」は、これまで培ってきた大豆加工の技術・知見を駆使し、豆腐を使った新たな植物たんぱく素材としてリリースしました。