フードテックの事例

FOODTECH CASE STUDY

発芽技術で生まれた全く新しい植物肉「ミラクルミート」

熊本県熊本市

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発芽技術で生まれた全く新しい植物肉「ミラクルミート」

フードテックベンチャーのDAIZ株式会社は、「植物肉」をはじめとしたプラントベースフードの普及を推進し、地球温暖化とタンパク質危機の解決に寄与することを目指しています。

DAIZ株式会社は、熊本に本社・研究所・工場を構え、発芽大豆由来の植物肉「ミラクルミート」を開発・製造するスタートアップです。

DAIZが開発・製造する植物肉「ミラクルミート」は、従来の植物肉と比べて、①味と食感に残る違和感、②大豆特有の青臭さや油臭さ、③肉に見劣りする機能性(栄養価)などの課題を独自の技術と製法により解決した、美味しい植物性食品です。

これまでの植物肉は、大豆搾油後の残渣物である脱脂加工大豆を主原料としていましたが、DAIZの植物肉「ミラクルミート」は原料に丸大豆を使用しています。さらに、オレイン酸リッチ大豆を使用することで、大豆特有の臭みを無くし、異風味を低減しました。

この「ミラクルミート」の最大の特徴は、味や機能性を自在にコントロールするコア技術「落合式ハイプレッシャー法」で大豆を発芽させ、旨味や栄養価を増大させている点です。

落合式ハイプレッシャー法とは、大豆の発芽中に酸素・二酸化炭素・温度・水分などの生育条件を制御し、酵素を活性化させることで遊離アミノ酸量が増加し、素材の旨味を引き出す栽培法。発芽させた大豆をエクストルーダー(押出成形機)にかけ、高温下でスクリューで圧力をかけ押し出す膨化成形技術により、肉のような弾力と食感を再現しています。

「ミラクルミート」は、旨味や栄養価が増大した発芽大豆を使用しているため、他の原料や添加物を何も足さずして完成します。さらに、発芽タンクを用いた独自の製造プロセスにより、原価低減を図っており、鶏肉や豚肉と同等の価格を実現しました。

このようにして作られた「ミラクルミート」は、主に食品メーカー、小売流通や外食関連企業へ納入され、さまざまな大豆ミート商品となり一般消費者へと販売・提供されています。

食品スーパーマーケット大手のライフコーポレーションでは「ミラクルミート」を使用したプライベートブランド商品として「発芽豆からつくったおにく」シリーズを2021年4月に発売開始しました。「発芽豆からつくったおにく」シリーズは、春巻き・餃子・メンチカツなどがチルド食品・冷凍食品として複数アイテム展開しています。

ライフは「昨今注目を集めている大豆ミートで“おいしく” “栄養のある”植物肉の商品をご提供したいと考えました。また、植物肉は持続可能な資源であり、SDGsの観点からも環境へ配慮した商品で貢献したいという思いから開発いたしました。」とコメントしています。

また同社は「ミラクルミート」を採用した理由として「大豆ミート商品を開発するにあたり課題となったのが、大豆特有の臭み。臭みを抑え、おいしいと感じていただける商品を作りたいと思い見つけたのがミラクルミートです。大豆の栄養を豊富に含んだおいしい大豆ミートを目指して、開発を始めました。」と開発の背景を語っています。

他にも「ミラクルミート」はさまざまな形でメニュー化されています。きちりホールディングスが運営する飲食店「いしがまやハンバーグ」は、「ミラクルミート」を採用したハンバーグを2020年10月に提供開始しました。「いしがまやハンバーグ」では、植物肉100%のハンバーグと、欧米では主流になりつつある植物肉と畜産牛を混ぜたハーフ&ハーフのハンバーグの2種がメニューに並んでいます。

DAIZのフィールドは日本国内に留まりません。DAIZは2021年5月にアメリカ・ボストンに子会社「DAIZ USA」を設立しました。DAIZ USAは、北米における戦略的拠点として機能することを目指し、米国における市場調査や顧客開拓、植物肉原料の研究開発や生産拠点開設に向けた活動を開始しました。DAIZは、独自技術を強みにグローバルにおいても更なる事業拡大を図り、新しい食文化を世界に発信していきます。

このように各方面で注目を浴びる植物肉は、これから益々、一般消費者の認知・普及が本格化するでしょう。植物肉普及のカギは、美味しさと一般消費者も購入しやすい価格の追求とも言えます。DAIZは研究開発を重ねることで、美味しさと価格を追求すると同時に、植物肉に限らない、プラントベースフードの開発も進めています。直近では、発芽大豆から作られたツナ・卵・ミルクなど、さまざまなプラントベースフードを開発しました。DAIZは、これらの植物性食品の開発・製造を通じて、サステナブルな社会の実現・タンパク質危機の解消・SDGsの達成などに寄与することを目指してまいります。