フードテックの事例

FOODTECH CASE STUDY

循環型食材“サーキュラーフード”としてのコオロギの普及

徳島県鳴門市

  • 廃棄物の減少・再利用化
  • 新たな食品
  • 食品EC
循環型食材“サーキュラーフード”としてのコオロギの普及

■事業背景:タンパク質危機とフードロスの課題

2019年6月に国連より発表された報告書によると、今後30年で、世界人口は現在の77億人から97億人へと、20億人の増加が見込まれ、急激な人口増加に伴う飢餓や栄養不良といった食料問題への対応が喫緊の課題と言われています。特に動物性タンパク質の不足は顕著で、1億トンを上回ると予測されています。

一方で、日本を含めた多くの国々では年間13億トンにも上るフードロスが発生しており、その量は全世界で生産されている食品の約3分の1に相当します。

深刻な食料不足が見込まれている一方でフードロスが発生している。これらの相反する社会課題に対して、コオロギの持つ可能性が期待されています。


■コオロギの持つ可能性:環境負荷の低いタンパク源、そして次世代の循環型食材“サーキュラーフード”

昆虫は他の家畜と比べて1kgのタンパク質を生成するのに必要な餌や水の量が圧倒的に少ないため、限りある資源の有効活用が可能です。加えて温室効果ガスの排出量も少なく、環境負荷の低いタンパク源といえます。

またコオロギは雑食の昆虫であるため餌の制限が少なく、世界中で発生しているフードロスを餌として飼育することが可能です。この特徴からコオロギは、捨てられるはずのフードロスを活用して新たなタンパク質を生み出すフードサイクルが実現できる循環型食材であり、今後持続可能な社会の構築に求められる“サーキュラーフード”になると考えています。


■株式会社グリラスについて:「コオロギ×テクノロジーが生み出す新たな調和で、健康でしあわせな未来を。」

グリラスは徳島大学における25年を越える研究を基礎とした、世界でもトップレベルのコオロギに関する知見やノウハウを活かすべく、2019年に設立されたフードテックベンチャーです。2020年5月には株式会社ジェイテクトと業務提携を行い、徳島県美馬市の廃校を新たな生産拠点として整備し、食用コオロギの量産に向けた自動生産システムの導入を進めています。

また日本国内で生産された、安心・安全で高品質な食用コオロギを販売することにより、輸送を含めた生産プロセスにおける環境への負荷を最小限に留め、持続可能な社会の実現に貢献していきます。

これまでに良品計画と共同開発を行った「コオロギせんべい」や、レストランANTCICADAの「コオロギラーメン」、そして“サーキュラーフード”をコンセプトに開発した自社ブランド「C.TRIA」を展開しています。「C.TRIA」の第1弾となる商品としては、まだコオロギを食べたことがない方々にとっても、気軽に家族や友達、同僚とともに楽しめるよう、クッキーとチョコクランチを自社ECサイト「グリラスオンライン」 (https://gryllus-online.jp/pages/ctria) にて販売を開始しました。

グリラスはこれらの取り組みを一段と加速させ、“サーキュラーフード”としてのコオロギの普及を通じて持続可能な社会の実現を目指します。

株式会社グリラス

設立:2019年5月
事業内容:
・⾷⽤コオロギの⽣産
・⾷⽤コオロギを⽤いた⾷品原材料および加⼯⾷品の製造、販売
・⾷⽤コオロギの飼育管理サービスの開発、販売等
所在地:
・本社・鳴⾨ファーム
 〒772-0001
 徳島県鳴⾨市撫養町⿊崎字松島 45-56
・美⾺ファーム
 〒771-2104
 徳島県美⾺市美⾺町南原 22-1
資本⾦:2億8,200万円(資本準備⾦を含む)