FOODTECH CASE STUDY
食用コオロギパウダーを使用したパン・菓子開発の取り組み
Pascoは1920年(大正9年)の創業以来、本業を通じて社会に貢献することを理念とし、未来の食糧不安に備え、持続的な食糧の安定供給を目指しSDGsの貢献に向けた取り組みも進めています。この取り組みの一環として、栄養価が高く地球にも優しい昆虫食に着目し、高崎経済大学発ベンチャー企業であるFUTURENAUT株式会社の食用コオロギパウダーを使用した製品を研究・開発しました。Pasco未来食Labo「Korogi Cafe」シリーズとして、2020年12月に「コオロギのバゲット」と「コオロギのフィナンシェ」をオンラインショップにて数量限定で発売、その後も「コオロギのバウムクーヘン」等の新製品を追加し、毎月1回発売をしています。また、2021年7月、食用コオロギパウダーを使用したパンづくりを楽しみながら、昆虫食が注目される理由等、未来の食について学んでいただける「コオロギの食育パンキット」を発売しました。
昆虫はタンパク質が豊富で、牛などに比べて飼育に必要なエサや排出する温室効果ガスが少ないとされ、地球にやさしい食材として注目されています。中でも、コオロギは育てやすく味も良いことから人気が高まっています。Pascoでは、2017年11月にフィンランドのメーカーがコオロギ粉末入りのパンを発売したとの情報を得て、専務の盛田兼由の指示のもと、昆虫食の調査・研究を開始しました。その後、様々なコオロギパウダーを取り寄せて試作を繰り返しましたが、コオロギは、品種や与える餌によって味が違い、また製法によっては口の中にざらざらした食感が残るなど、その選定には苦労しました。「Korogi Cafe」シリーズでは、タイの食品製造管理基準の認証を受けた衛生的な食用コオロギ養殖場で養殖された「ヨーロッパイエコオロギ」を使用しています。他の品種と比べるとクセの少ないさっぱりした味が特徴で、雑穀や炒ったナッツのような香りがし、パンやお菓子に使うと、味に深みが出ます。
近年注目が高まっている昆虫食ですが、その見た目に抵抗感を感じる方も多いです。「Korogi Cafe」シリーズは、見た目から来る抵抗感を抑えるためにコオロギのパウダーを使用し、初めての方でも食べやすい製品となっています。また、コオロギにはえびやかになどの甲殻類と類似した成分が含まれるため、アレルギーにも注意が必要なことから、通常の生産ラインではなく、専用の施設で製造しています。
昆虫食の普及に向けては、抵抗感の払拭等いくつか課題もありますが、昆虫食の取り組みが、未来の食や環境問題等について考える良いきっかけになればと考えています。
Pascoはこれからも安全で美味しい製品の提供に努めて参ります。
「パンで社会に貢献する」という理念のもと事業を展開。 2020年に創業100周年を迎え、長い伝統に培われた技術力と、新しい価値づくりへのチャレンジ精神で数々のロングセラー商品を生み、「超熟」シリーズをはじめとする食事用パンや菓子類を販売し、食べ方提案等を行っています。また、国産小麦の小麦粉を使用したパンづくりで、日本の食料自給率向上へ貢献する取り組みを続けています。